「なかなか子供が授からない」 でも自分の子供を抱けるという期待を込めて人工授精に数回挑戦してもダメだった場合でも、まだ体外受精が残されています。
体外受精は、卵子と精子を一旦取り出して受精させてから受精卵を母体内に戻す方法ですので、
受精卵が着床して成長できるかどうかという点が重要になってきます。
また、この体外受精は妊娠できる確率も人工授精より高くなっています。
ただし、体外受精はリスクも費用も人工授精より負担が大きいというデメリットを理解した上で、それでも子供を授かりたいと願うなら、体外受精を現実的に考えると良いでしょう。
近年、東洋医学の分野で自然妊娠法が飛躍的に進歩してきています。
人工授精や体外受精を検討している方や不妊で悩む方で、そういった自然妊娠法を試してみようという方が年々増えてきていますので、一度相談してみてください。
卵胞を育てる方法としてはショート法、ロング法、ウルトラロング法、クロミッド法など様々な方法が あり、また卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などで排卵誘発剤が使用できない場合には、自然周期に基づく方法もあり、 その方法は受診している不妊症施設によっても異なりますし、女性の体質によってもかなりの差があるようです。
しかも体外受精の技術は日進月歩で進化していますので常に新しい方法が取り入れられています。通常はスプレキュアなどの点鼻薬(GnRH剤)を噴霧し、 排卵をコントロールできるようにし月経の3~6日頃から、卵胞が直径18~20ミリに成熟するまで毎日hMG製剤を注射していきます。
HMG製剤は、直接卵巣を刺激する作用が強く、一度にたくさんの卵胞ができるので、体外受精の場合に使用されることが多い薬で、現在は自己注射として、 女性が自宅で毎日使用できるようになっています。これらの薬を使いながら、卵胞が直径18~20ミリになるころに、hCG製剤を注射して排卵を促進します。
HCG製剤は、排卵を促進する効果があり、注射の約36時間後に排卵するとされています。
※ 採取できる卵の数は女性の年齢や体質によって、かなりのバラつきがあり、一般に排卵誘発剤を使用する回数が多ければ多いほど、採取できる卵の数は少なくなるようです。
HCG注射後34時間を過ぎた頃、成熟した卵胞が破裂する前に卵巣から卵胞を採取します。
これを採卵と呼びます。
採卵する場合には、麻酔をかけ、膣用超音波のプローブの先に採卵針をつけて膣から入れ卵巣に
刺し、さらにひとつひとつ卵胞に刺して、中の卵子と卵胞液を吸引します。
一方男性は、マスターベーションによって、精液を採取します。
良好な濃い精液が必要なので、5日間ほど禁欲している必要があります。
その後、精液は洗浄・濃縮され、良好な精子を選別します。
シャーレの中で数時間培養してより成熟度が高くなった卵子の上に良好な精子をふりかけます。
だいたい卵子1つあたりに10万個/mlの精子を振りかけます。これを媒精と呼びます。
そして培養器の中で、受精卵ができるの待ちますが、このときには培養器の温度管理が非常に大切で、非常に繊細な操作が要求されます。
16~20時間後に、受精しているかどうかを確認し、受精が成立していることを確かめて、培養を続けます。 受精卵は細胞分裂を続け、2日後には4分割胚、3日目には8分割胚、5日目には胚盤胞にまで分裂していきます。
最近では培養方法や凍結方法が進歩し、受精卵を凍結しても、その生存率は初期胚で98.9%、胚盤胞で99.4%と言われ、凍結期間によっても左右されなくなってきているので、 グレードのよい受精卵が多くできた場合にも安心して治療を受けることができるようになっています。
培養した胚を女性の子宮に戻す胚移植手術を行います。(入院が必要です)
胚移植から14日後に妊娠判定を行います。尿検査で妊娠反応が出れば妊娠が確定します。
全身麻酔下での手術を必要とするため、何度もできるものではありませんが、何度、体外受精をしても受精卵が成長しない場合には非常に有効な手段となります。